椎間板ヘルニアストレッチ

椎間板ヘルニアを改善するためのストレッチ法を説明します。

「 椎間板ヘルニアのストレッチ 」 自宅での改善方法をご紹介

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執筆:森 ジュンヤ(理学療法士、国立大学法人・九州大学会員)
 
 
腰の腰椎椎間板ヘルニアの多くは、適切なストレッチにより症状の改善が期待できます。
ここでは、腰椎 椎間板ヘルニアのストレッチ について、正しいストレッチのポイントと具体的なやり方をご紹介します。
 
 

ストレッチを実践する前に知っておくこととは?

 
腰痛は、私たちの生活のなかでも比較的よくみられる症状のひとつだといわれています。しかし、腰痛の多くは「原因がはっきりとしないもの」の方が割合としては多いのです。
 
同じ腰痛でも原因ごとに当然対処法も異なります。まずは、「腰痛の原因が腰椎椎間板ヘルニアかどうか」をはっきりさせましょう。
 
これがわかっていると、適切なストレッチができるだけでなく、別な体に部位に負担をかけることを防止することにもつながります。
 
 

腰椎椎間板ヘルニアで腰痛になるしくみとは?

 
人のからだの背骨は、小さな椎骨(ついこつ)という骨が積み木のように縦に重なってできています。それぞれの背骨の間には椎間板(ついかんばん)というクッションの役割をするものがサンドイッチされた状態になっています。椎間板は水分などを含んでいて弾力性のあるつくりになっているのです。
 
この椎間板が、無理な動作、急激な運動、姿勢の不良などによって飛び出してしまうことがあります。背骨のうしろには脊髄(せきずい)という大きな神経の束があります。飛び出してしまった椎間板が、神経の束である脊髄を圧迫してしまうと、腰痛、下半身の痛み、下半身に力が入らない、下半身のしびれなどといった症状がでてしまうのです。
 
 

ストレッチの方法 「マッケンジー体操」

 
今回ご紹介するのは、「マッケンジー体操」あるいは「マッケンジーエクササイズ」ともよばれるストレッチ法です。病院でのリハビリテーション、あるいはスポーツ分野においてもおこなわれる歴史あるストレッチ法になります。
 
1970年にニュージーランドの理学療法士であるロビン・マッケンジー氏がはじめて提唱したストレッチ理論であることから、その名前が付けられています。
 
腰椎椎間板ヘルニアの腰痛改善などのストレッチといえば、まずはその名があがるほど有名なマッケンジー体操。一般の方には知れていないかもしれませんが、おそらく医療や健康分野に関わる方の多くが知っていて、なおかつその効果が認められている方法だといえるでしょう。
 
それでは、腰椎 椎間板ヘルニアのストレッチ として有効な「マッケンジー体操」について詳しくみていきましょう。
 
 

なんで腰椎 椎間板ヘルニアのストレッチ をするの?

 
腰椎 椎間板ヘルニアでストレッチ が推奨される目的は以下の2つです。
 
1.腰の動きに柔軟性をあたえる
痛みやしびれがあると、からだをうごかす頻度が減り、筋肉や関節がかたくなり柔軟性が失ってしまいます。マッケンジー体操は、痛みなどが出ない状態を考えておこなうので、からだの柔軟性を改善することに有効です。
 
 
2.姿勢を改善し痛み再発の防止をはかる
腰椎椎間板ヘルニアは、日常生活での姿勢不良が影響していると考えられています。一日中同じ姿勢をしていると、腰への負担が大きくなります。マッケンジー体操をとりいれることで、腰椎椎間板ヘルニアの発症の予防、あるいは再発の防止につながると考えられています。
 
 

マッケンジー体操でえられる効果

 
腰椎椎間板ヘルニアに対してマッケンジー体操を取り入れると次のような効果が期待できます。
 
1.椎間板にかかる負担を減らすことができる
腰を反らせるような動作を取り入れたマッケンジー体操は、飛び出した椎間板を元に戻すようにはたらきかけます。この動作が腰椎椎間板ヘルニアの症状を和らげる効果が期待できます。
 
 
2.筋肉の血流をうながし、柔軟性の改善と痛みを和らげることができる
ストレッチにより適度に筋肉をはたらかせることで、筋肉内の血流が改善し、柔軟性や痛みを和らげる効果があります。
 
 
3.弱くなった筋肉を鍛えることができる。
腰椎椎間板ヘルニアの症状により、からだをうごかさなければ筋肉は弱くなってしまいます。マッケンジー体操には、筋肉を使う動作が含まれているため、弱くなった筋肉を刺激し、筋力の回復や改善の効果もあります。
 
 

実際にマッケンジー体操をやってみましょう

 
ストレッチを行うときは、「息を止めない」「ゆっくりやる」「腰痛がでたら中止すつ」という3つのポイントを基本ルールとして覚えておきましょう。またストレッチは継続が大切です。できれば朝・昼・夜の3回は取り組みたいところです。
忙しくて時間がない方は、回数が多少減っても構いませんので、できる限り毎日継続することを心がけると効果が得られやすくなります。
 
 
1.基本姿勢と準備運動
◆マット(ゆか)の上などでうつ伏せになります。
◆両ひじと手の平を床につけて、腰を反らす姿勢をとります。肩と肘は1直線になるようにします。腰の力を抜いてリラックスさせ1~2秒保ちます。この一連の動作を5~10回くり返します。
 
 
2.基本体操
◆うつ伏せの姿勢で、手の平を胸の高さにあわせて置きます。ちょうど腕立て伏せの姿勢に似ています。このままゆっくりと上半身を持ち上げます。ゆっくり行うことがポイントです。
◆肘を伸ばし、上半身を反らせたしせいのまま腰の力を抜いてリラックスさせます。そのまま1〜2秒保ちます。これをゆっくり10回行います。
 
 
3.応用編
応用編といっても「難しい」ということではありません。時間がない方、仕事中のスキマ時間を利用してちょっとでも取り組みたいという方にすすめられるマッケンジー体操です。
◆両足を肩幅程度に開いて立ちます。両手は腰の位置に置きます(前にならえの先頭にくる人がとる姿勢です)。
◆両手で押さえている場所を支点にして、上体を軽く後ろに反らせていきます。反らせたらそのまま1〜2秒保ちます。
◆ゆっくりと戻し、この動作を10回行いましょう。
 
 

まとめ

 
いかがだったでしょうか。腰椎 椎間板ヘルニアのストレッチ として有効なマッケンジー体操にはたくさんの種類があります。ある意味では具体的な体操が決まっているのではなく、体操の理論といってもいえます。
今回は、そのなかでも病院などで実施されているマイルドで、簡単かつ継続しやすいというポイントからマッケンジー体操をご紹介しました。みなさんの普段の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。ただし、くり返しておきますが、まずはヘルニアだと診断されていることを忘れてはいけません。
 
また、体操をつづけても改善がない、あるいは痛みがつよくなる場合は、ほかの病気による場合も考えられますので、医療機関を受診し、きちんと診断を受けたうえでアドバイスをもらうことが大切です。
 
【参考文献】
・伊藤 俊一、鶴見 隆正編:腰痛の理学療法 (理学療法MOOK 14) 三輪書店 (2008/5/1)
・淺井 仁、奈良 勲編:姿勢制御と理学療法の実際 文光堂 (2016/5/16)
・厚生労働省・腰痛対策(http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/1911-1_2d.pdf 2016/5/13閲覧)
・公益社団法人日本理学療法士協会・腰椎椎間板ヘルニア理学療法診療ガイドライン
(http://www.japanpt.or.jp/upload/jspt/obj/files/guideline/08_hernia.pdf 2016/5/13閲覧)
 
 
<執筆者プロフィール>
森 ジュンヤ(もり・じゅんや)
理学療法士国家資格取得。急性期総合病院、回復期リハビリ専門病院、訪問看護ステーションにて臨床経験を経る(現在10年目)。専門分野は保健衛生分野。現在は医療関連記事、動物臨床医学、保健衛生学についての執筆を行う。